アリ

夕方のスーク

土曜日。仕事はお休み。でも学校へ。ブールメンでは土曜日にも授業が行われる。昨日思いついた仏語の勉強。モロッコ人仏語教師の中でも大好きなアリの授業を受けることにした。アリはタズルマットの5,6年の仏語の教師。タズルマットは午前午後2部制になっている。
午前中5,6年のクラスだと思い行ってみたら、ディレクターから午後だと言われた。「仏語で何か困ったことがあるのか?」って聞かれた。いつもだよ。いつも、困っているよ。「アリのクラスで仏語の勉強がしたいんです。」「俺が教える。」と言ってくれたけれど、あっさり断ってしまった。
なぜ私がアリのクラスを選ぶか。その理由。
1:コリジェ《見直し》がていねい。授業のために指導略案を仏語で用意し、それを担当教師に見せている。仏語の表記ミスが多いのでよく赤が入る。でもそれは複数形だったり、定冠詞だったり、単純な訂正。アリは細かい文法の見直しまでしてくれた。それをしてくれたとき、彼に対しての信頼感は増した。
2:仏語で話してくれる。随分前に彼は言った。「キイコは仏語を勉強したいんだね。じゃあ、僕はきみと話をするときは仏語で話そう。」彼はそれを守ってくれる。数人の教師とアラビア語で話しているときでも、彼だけは仏語で話してくれる。あいさつくらいはアラビア語でできる。でも、あいさつも仏語。どんなときでも仏語。仏語の先生だからって、仏語でずっと話してくれるわけじゃない。面倒なのか、アラビア語で話す人が多い。でも、アリは彼が言ったことを守って仏語で話してくれる。
3:発音がきれい。モロッコ人の発音に少しずつ慣れてきた。でも、やっぱりまだ聞き取れないことは多い。アリの発音は聞き取りやすい。
4:怒鳴らない。見学させてもらったクラスでは、教師が怒鳴ったり、叩いたりすることが多い。児童が間違ったり分からなかったりすると、教師は大きな声になる。でも、大きな声で言われたからって分かるわけじゃない、ってのは、分からない立場になって痛感する。アリは授業中怒ることが少ない。発音がきれいな教師はいるけど、子どもの間違いを怒るので、私まで緊張する。
5:笑顔。タズルマットの教師は私を穏やかに、笑顔で迎えてくれる。受けれいれてくれている印象が強い。休み時間になると、「キイコ!」って笑顔で声をかけてくれる。タズルマットは居心地がいい。
ディレクターノウノウも我が学校、タズルマットに仏語の勉強をしに来た私にご機嫌。しかもセントラルで仕事をする難しさを言ってしまったもので、ますますご機嫌。「俺の学校はいいだろう。」みたいな感じ。アイタ。でも確かに。ノウノウは小うるさいけど信頼できる。今日お願いしたこと、貧しくて30円のはさみさえ買えない子どものために、はさみを学校にいくつか用意することを、実行してくれるだろう。

椅子に座っている男性がディレクターノウノウ。右側の長身の男性がアリ。ディレクターの左にいるのが2年生の教師。一番左が5,6年のアラビア語の教師。