謝ること

体育をすると、子ども達は興奮しやすい。ハッサン・イジェルガニーの6年生のクラス。ゲームをしているときに、私の帽子に何かが当たった。子どもに聞いたら「こいつが石を投げたんだ。」と教えてくれた。その子は何か言い訳をしている。私には分からない。だから、その場にいなかったハッサンに、授業が終わったあと、このことを伝えた。ハッサンは「後からクラスに来てくれ。彼に謝らせる。」と言うので、他のクラスの授業を終えたあとに再度訪れた。
ハッサンは「誰が石を投げたんだ?」とまず聞いた。その子は自分から名乗り出ない。でも、周りの子がよく見ていてすぐにハッサンに言う。モロッコの子ども達は誰かのしでかしたことを教師に伝えるのに躊躇しない。ハッサンは彼に「何でそんなことをした?」と聞いた後「キイコに謝りなさい。」と指導した。日本じゃ当たり前のことだけど、モロッコでは私の目には新鮮に映る。こういったとき、多くの場合、教師がその子を叩いて終わる。でも、ハッサンは叩かない。謝ることの大切さを子どもに教えた。その子が石を投げたのは、ゲームに負けてつまらなかった、それだけの理由。ハッサン・イジェルガニーは他の教師とは違う。