始まったリコーダー学習

みなさんにご紹介。なんとこのブールメンに50本のリコーダーがやってきました。ある小学校の子ども達の力と私の尊敬するある方の力を借りて。そしてJICAの協力のもとに。日本でリコーダーを集めてもらったのです。集めるのは大変だったはず。限られた時間の中で集め、さらにJICA本部のある東京に送らなければならないのだから。感謝感謝感謝。
ところが。これをモロッコ人に簡単に渡すわけにはいかないのだああああ。
援助されることをいつも期待している彼ら。だからこそ、私は伝えなければならない。この一週間モヤモヤしていたこと。リコーダーの渡し方。紹介の仕方。昨日ようやく考えが整理ついた。このリコーダーは今週月曜日にエコールアラールにて紹介をしたが、校長先生でさえ、そのありがたみがまだ分かってないように感じた。だから、他の学校の先生や子ども達ならなおさらだと思った。子ども達はリコーダーを喜んでくれる。でも、喜ぶだけじゃだめだと感じる。なぜならば、モロッコ人は全体的に物をていねいに扱わないように思えるからだ。もらった物は嬉しいけどその扱いまでは深く考えてくれないと思った。
ってことで、今日はリコーダーを使った授業を初めて行った。30分の授業で私はリコーダーのいきさつを10分も語った。ちなみにフランス語で語るので、先生がアラビア語の訳すから、10分になってしまう、、。
「今日からリコーダーの学習を行います。ここ、ブールメンにたくさんのリコーダーが届きました。なぜでしょう。それは日本の子ども達があなた達のために集め、送ってくれたからです。どうやって集めたか、、、兄弟や近所の人を訪ねて、リコーダーがあったらください、って頼んだんです。そして、集めたリコーダーをJICAの本部のある東京に送るために彼らはすごく努力したんです。(モロッコ人に分かりやすいように嘘をついたけど、、、)彼らの街から東京に送るためには約500ディラハムのお金がかかります。とても高い金額です。彼らはそのお金を集めるために、まずは自分達のおやつを我慢したんです。おやつ代を500ディラハム分集めて、やっと東京に送ったんです。それがどんなに大変なことか分かりますか。」
後半完全に嘘です。別の方法をとっています。でも、モロッコ人、モロッコの子ども達に簡単じゃないってことを分かってもらうにはこれがいい、と思ったんです。
「それからはJICAがラバトに送ってくれ、さらにブールメンまで運んでくれたんです。でも、最初はJICAは送って欲しいと頼んでもNONと言いました。日本からモロッコに送るのには、もっともっとお金がかかるからです。そのためにどうしたか。私は何度も手紙を書きました。どうしてか。あなた方にリコーダーをふいて欲しいからです。リコーダーは難しいです。でもとても面白いです。それをあなた達に知ってほしかった。結果、JICAもOKを出してくれ、ようやくここにリコーダーが届いたのです。
このリコーダーを送ってもらうために、たくさんの人が努力をしました。だから私はあなた達にこのリコーダーを大切に使って欲しいと思っています。3月まで私とみんな、そしてあなた達の先生と共に一緒に学びましょう。3月が過ぎたら、あなた達と先生でリコーダーをさらに学んでくれたら嬉しく思います。」
と言った内容。恩着せがましいところもあるのでしょうが、ここまで言うと子ども達もどんどん表情が変わり、リコーダーを渡したときには、みんな本当に大切な物に触れるように触っては眺め、眺めては触ってくれた。「今は見るだけ、吹くのはまだだからね。」の言葉もちゃんと守ることができた。
今日はとりあえず持ち方を指導。左手は赤で表示。右手で抑える穴は青で表示。左手、4つの指で押さえたらソの音が出る。今日はソだけ。私が手をパアにしているときに吹く、グウにしたらやめる、の指示も守れる。激しく吹く子はいなかった。それも事前に説明したからちゃんと先生が指導してくれた。
初めてのリコーダー。子ども達は真剣に学習に取り組めた。終わったあと「メルシ」「シュクラン」「ありがとう」色々な言葉を子ども達からもらった。いつも言われる言葉だけど、今日はなんとなく印象が違った。